頭痛でお悩みの方へ

皆さま、こんにちは。脳神経外科医の遠藤です。

頭痛でお悩みの方は非常に多いですが、実は頭痛にはとてもたくさん種類があります。

正式な分類をすると、その種類は何と300種類以上と言われています。

このページでは、前半は、脳に異常がある頭痛(二次性頭痛)について解説し、後半に脳に異常がない頭痛(一次性頭痛)について解説いたします。

ほとんどの方は、脳に異常がない一次性頭痛の項目が対象になるかと思いますが、知識として二次性頭痛についても知っておいていただきたいと思い、前半は二次性頭痛の代表的なものを載せておきました。

一次性頭痛から知りたい方は、後半から読んでください。

他、問題となっている薬剤乱用頭痛や片頭痛に似ているけれど少し違うタイプなどについても解説してあります。

脳に異常がある頭痛(二次性頭痛)

頭痛には、

脳の病気ではない頭痛(一次性頭痛)

脳の病気から来る頭痛(二次性頭痛)

に分かれます。

もし脳やその周囲に原因があるタイプの頭痛(二次性頭痛)では、その原因を取り除かない限り頭痛は改善しません。

場合によっては、放っておいたら命に関わる事態に発展する可能性もあります。

二次性頭痛の代表的なものをいくつか挙げていきたいと思います。

くも膜下出血

二次性頭痛の代表的なものに、『くも膜下出血』という怖い病気があります。

ある日突然、激しい頭痛を来たし、そのまま命を奪ってしまう可能性のある怖い疾患です。

この頭痛は極めて強く、バットで思い切り殴られたような頭痛、人生でいまだかつて経験してことない頭痛などの表現がしばしされます。

くも膜下出血とは、頭の中の血管のコブが破れてしまい、頭の中に出血しまう病気です。

脳の血管のコブが破れると、『くも膜下出血』になる

非常に致死率の高い疾患ですが、最初の頭痛の段階で、素早く診断でき、治療できたら助かる可能性は十分あるとされています。

コブからの出血は、最初にドバーッと吹き出て、この時に激しい頭痛が起こります。

その後、ある程度吹き出たらカサブタのような状態で一旦止血されます。

ただし、カサブタですので、放っておくとまたすぐに剥がれて再度出血してしまいます。

再度出血すると、かなり致命的な状態になってしまうことが多いです。

ですので、このカサブタの状態でいかに治療までこぎつげるか、つまり最初の頭痛をいかに見逃さないか ということが非常に重要になってきます。

初期診断は、頭部CTが非常に有効です。

短時間ですみ、90%以上のくも膜下出血を診断できます。

MRIの方がさらに詳しく診断可能ですが、くも膜下出血が強く疑われる場合は、一刻を争うので、まずは短時間で診断をつける意味で、CTは極めて有効です。

くも膜下出血の治療は、基本的に2種類あります。

クリッピング術というコブの根本を洗濯バサミの要領でクリップしてしまう方法とコイリング術というカテーテルという細い管を血管の中を通してコブの内部に金属の糸くずを詰め込む方法があります。

クリッピング術
コイリング術

どちらにするかは、コブの場所や形であったり、その施設がどちらを得意にしているかなどによって決めることが多いです。

椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)

『椎骨動脈解離』という病気も、二次性頭痛を起こし、くも膜下出血同様、突然の激しい頭痛を来たします。

後頭部に強い痛みを来すことが特徴ですが、頭痛のタイプ的にはくも膜下出血との区別はつきません。

脳の後ろの方を走行している椎骨動脈(ついこつどうみゃく)という血管の壁が、剥がれてしまうことで生じます。

椎骨動脈解離

比較的若い年齢層(30-40代)に起こることが多いので、若い方も注意が必要です。

椎骨動脈解離自体でも激しい頭痛を起こすのですが、やっかいなことに、椎骨動脈解離は、くも膜下出血もしくは脳梗塞を引き起こすことがあり、それによって大きな後遺症を残してしまう場合があります。

診断は、くも膜下出血をきたしたものは頭部CTで診断できますが、それ以外ですとCTでは診断が難しい場合が多いため、頭部MRIが極めて有効です。

治療は、軽度の椎骨動脈解離であれば、経過観察のみで大丈夫なことが多いですが、くも膜下出血、脳梗塞を来すタイプのものでは、手術やカテーテル治療が必要になることがあります。

脳腫瘍(のうしゅよう)

上記2つよりは、緊急性という意味では、そこまで高くありませんが、脳腫瘍も頭痛の原因となります。

脳腫瘍

脳腫瘍の頭痛の特徴としては、前頭部や後頭部に痛みがあることが多いとされています。

また頭痛がない時間帯が結構あるのが特徴です。

他にも早朝に頭痛が強かったり、物忘れや人格変化などを伴うこともあります。

ただ脳腫瘍は、非常に種類が多く、悪性度の極めて高いものから放っておいていいものまで、かなり幅があります。

ある程度のサイズのものであれば、頭部CT、MRIいずれでも診断可能です。

小さいものの診断やより詳細な情報を知りたい場合は、頭部MRIが有効です。

脳腫瘍は、小さいものはほとんど頭痛はおこりませんし、経過観察でいい場合がほとんどです。

腫瘍がある程度のサイズになったら、脳の正常な部分を圧迫しだし、頭痛が起こってきます。

こうなってくると外科的治療を検討します。

髄膜炎(ずいまくえん)

髄膜炎は、脳(正確には脳を包む膜)の感染症です。

大きく分けるとウイルスによるもの細菌によるものに分かれます。

マニアックなものとして、結核によるものであったりカビによるものなどもありますが、ここでは割愛します。

ウイルスと細菌の違いについては、ここでは説明しませんが、簡単に分けると

ウイルス性髄膜炎 ➡︎ 軽症

細菌性髄膜炎 ➡︎ 重症

と考えて差し支えありません。

髄膜炎とは、脳以外の場所から、ウイルスもしくは細菌が脳にまで到達して、そこで増殖してしまう状態です。

頭痛の特徴としては、強い頭痛が何日も続きます。

発熱や嘔吐、首が硬くなるといった症状を伴うことも多いです。

髄膜炎の症状

ウイルス性のものならば、基本的には頭の風邪という判断ですので、経過観察で改善します。

風邪症状の後に、長引く頭痛がある場合は、ウイルス性髄膜炎の可能性を考えます。

細菌性のものは、抗生物質で治療をしないと命に関わります。

通常は、健康の人は、細菌性髄膜炎にはなりません。

免疫が低下していたり、手術後のような体力が低下している場合に起こる可能性があります。

髄膜炎の検査は、腰から針を刺して髄液という液体を抜いて検査をします。

髄液検査

蓄膿症(ちくのうしょう)

おでこ、鼻、頬っぺたなどの後ろにある空洞を副鼻腔(ふくびくう)といいます。

この副鼻腔にウミが貯まってしまう状態を、蓄膿症(ちくのうしょう)といいます。

正式名称は、副鼻腔炎(ふくびくうえん)と言います。

脳の病気ではないので、上3つよりは、緊急性や治療の必要性も下がります。

この副鼻腔炎も、脳の病気とは少し違いますが、二次性頭痛の原因になります。

副鼻腔内にウミが急にたまってきた場合に、副鼻腔の壁を圧迫され頭痛が起こると言われています。

ウミが減ると頭痛が改善し、またウミが増えると頭痛が増すというような、時間帯によって頭痛の強さが変化することがあります。

頭痛の部位としては、頬っぺた、おでこ、目と目の間、こめかみなどに痛みが生じることが多いです。

また鼻づまりや鼻の中の悪臭などを来すこともあります。

CTやMRIどちらでも正確な診断が可能です。

治療は、抗生物質での治療になります。

思い当たる症状があれば耳鼻咽喉科もしくは脳神経外科を受診してください。

脳に異常がない頭痛(一次性頭痛)

上の項では、脳に原因があることで起こる頭痛(二次性頭痛)について説明しました。

この項では、脳の病気ではない頭痛(一次性頭痛)について説明します。

基本、外来に来られる方や、普段から頭痛が頻繁にある方は、ほとんどがこの一次性頭痛と思われます。

一次性頭痛だけで、先に申しましたように相当な種類がありますが、ここでは多くの方に該当する代表的な一次性頭痛について述べていきたいと思います。

片頭痛

片頭痛

片頭痛は、一次性頭痛を代表する頭痛です。

非常に有名な頭痛で、ほとんどの方が片頭痛という名前は聞いたことがあるのはないでしょうか。

そもそも片頭痛とはどんな頭痛なのでしょうか。

よく頭痛持ちの方が、『自分は片頭痛持ちだから』というようなことを言っているのを聞いたことあるかと思いますが、案外それは片頭痛ではなく、次の項で説明する緊張型頭痛かもしれません。

片頭痛にも実は色々な種類があり、原因についても色々な議論があります。

細かく診断をしようとすると非常に複雑なことが多いのですが、簡単な診断法として、以下の症状が3つ以上あれば片頭痛と診断していいと思います。

頭の片側に起こる強い頭痛

脈に合わせて“ズキン、ズキン”と拍動するように痛む

頭痛が、4時間〜72時間(3日)続く

動くと頭痛が悪化する

頭痛とともに吐き気をもよおす、もしくは吐いてしまう

光や音がうざったく感じる

白いモヤのようなものが見えたり、ギザギザした光が見える

また片頭痛では、以下のようなものが引き金となることがあります。

・睡眠不足

・天候や気圧の変化

・空腹

・チカチカする光や強い匂い

・ストレス

・赤ワイン、カフェイン、大豆製品、ホットドック、香辛料

・顎関節症

片頭痛の診断がついた場合は、片頭痛に特化した治療を行います。

基本は薬剤による治療となりますが、頭痛の頻度や日常生活の困り具合によって薬剤投与方法が違ってきます。

片頭痛薬は、頭痛を止める薬頭痛予防薬に大別されます。

頭痛を止める薬は、痛い時のみ飲む薬で、一般的な痛み止め片頭痛特効薬に分かれます。

片頭痛特効薬は片頭痛に強い効果を示しますが、片頭痛以外の頭痛には効きません。

基本的には、片頭痛特効薬の方が、一般的な痛み止めより強い薬なので、一般的な痛み止めが効くのであれば、そちらを優先します。

頭痛予防薬は、毎日しっかり飲む必要がありますので、薬を毎日飲みたくない人には適しません。

頭痛の頻度が増えてきて、日常生活に支障を来たしはじめたら、予防薬の開始を検討します。

おおむね、症状によって以下のような治療方法になることが多いです。

たまに片頭痛があるが、それほどきつくない。普段はほとんど気にならない 

治療 ➡︎ 経過観察もしくは 頭痛時に一般的な痛み止め

たまに片頭痛があるが非常にきつい。普段はほとんど気にならない

治療 ➡︎ 頭痛時に片頭痛特効薬

きつい、きつくないとの境界は、個人差はありますが、日常生活に支障をきたすかきたさないかで判断すればいいかと思います。

しょっちゅう片頭痛あり。頭痛はそれほどきつくない 

治療 ➡︎ 片頭痛予防薬 + 頭痛時に一般的な頭痛薬  + 漢方

頭痛頻度が増えてきた場合は、片頭痛予防薬を開始を検討します。

頭痛は強くないため、一般的な鎮痛薬を使用します。

補助的な治療として漢方なども効果的です。

しょっちゅう片頭痛あり、頭痛も非常きつい 

治療 ➡︎  片頭痛予防薬 + 頭痛時に片頭痛特効薬 + 漢方

このタイプは、予防薬をベースとしながら、強い頭痛に対して、片頭痛特効薬を用います。

補助的に漢方も効果的です。

しょっちゅう片頭痛あり、頭痛も非常にきつい、さらに内服薬での改善なし 

治療 ➡︎  片頭痛注射薬(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ

なかなか内服薬が効かないタイプの片頭痛には、最近出た片頭痛の注射薬が有効です。

ただし、まだ値段が高いところがネックです。

嘔吐を伴う極めて強い片頭痛発作 

治療 ➡︎  緊急で受診後、トリプタン点鼻薬、酸素投与。場合によっては入院管理

片頭痛でも、かなり強い発作が起こる場合があり、自宅での管理が難しい場合があります。

場合によっては救急車を呼ぶような強い頭痛の時もあり、つらい時には我慢しないで医療機関を受診してください。

ほぼ毎日片頭痛あり、ほぼ毎日痛み止めを飲んでいる 

治療 ➡︎ 痛み止めの乱用を中止 + 片頭痛予防薬 + 漢方 など

このタイプは薬剤乱用頭痛の可能性があります。

薬剤乱用頭痛に関しては、このページの後半で解説しております。

緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)

緊張型頭痛

緊張型頭痛も片頭痛とならんで、一次性頭痛の代表です。

日本人に最も多い頭痛と言われています。

後頭部から首すじにかけての重苦しい感じや頭をベルトで締め付けられているような圧迫感が特徴です。

片頭痛ほど強い痛みではなく、動いても痛みは強くならず、光や音への過敏性や吐き気なども伴いません。

緊張型という名称のように、筋肉や神経が過度に緊張することで、頭痛が起こります。

筋肉の緊張とは、いわゆる首のコリと肩コリです。

首や肩の筋肉がこわばること筋肉の血行が悪化し、血管に老廃物が貯まり頭痛が起こります。

神経の緊張とは、心配や不安などの精神的ストレスです。

精神的ストレスにより脳の中の痛みを調整する機能が障害され、頭痛が起こります。

いつも頭痛持ちでなんとなく市販の痛み止めが手放せない

夕方になると決まって頭が重くなってくる

といった症状の方の多くは、緊張型頭痛と思われます。

治療としては、首や肩のコリが原因の場合は、首すじや肩をマッサージしたり蒸しタオルなどで温める体操ストレッチなどが有効です。

精神的ストレスが原因の場合も上記は有効です。

症状がつらい場合は、医療機関で内服薬を処方してもらった方がいいでしょう。

内服薬としては以下のものがあります。

筋弛緩薬(きんしかんやく)

筋弛緩薬とは、こわばった筋肉を柔らかくする薬です。

即効性はないので、きちんと定期的に服用することで効果を発揮します。

鎮痛薬(一般的な痛み止め)

緊張型頭痛には、鎮痛薬は即効性が期待できます。

市販もされていて、多くの種類がありますが、基本的には自分にあったものでいいかと思います。

ただし飲みすぎると、後に説明する薬剤乱用頭痛の起こす可能性があるので、多くても1週間に2〜3日程度に抑えていた方が無難でしょう。

片頭痛特効薬は、緊張型頭痛には効果がありません。

抗うつ薬・抗不安薬

先ほど説明したように、緊張型頭痛は、精神的ストレスによって引き起こされることがあるので、抗うつ薬や抗不安薬が有効とされています。

ただし、これらの薬は眠気や精神依存を引き起こす可能性があるので、少量にしたり長期にわたる服用をしないよう注意が必要です。

漢方薬

補助的な治療となりますが、頭痛が緩和することも多く、筋弛緩薬と合わせて処方することも多いです。

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、五苓散(ごれいさん)、葛根湯(かっこんとう)などが使われます。

葛根湯は風邪のひき始めに飲むことで有名ですが、緊張型頭痛にも効果的と言われています。

群発頭痛

群発頭痛

群発頭痛は、非常につらい頭痛です。

数週間〜数ヶ月にわたり、ほぼ毎日激しい頭痛が15分~3時間くらい起こります。

ある時期に集中的に起こり、それ以外にはパタッと症状がなくなるのが特徴です。

その発生様式から群発地震に似ていることからこのような名称になったようです。

目をえぐられるような激しい痛み、前頭部から側頭部にかけての締め付けられるような激しい痛みに襲われるとされています。

これらの頭痛に加えて以下の症状があれば群発頭痛の可能性を考えます。

目の充血や涙を伴う

鼻水・鼻づまりを伴う

目の周りのむくみ

冷や汗

まぶたが下がってくる

落ち着きがなくなる、興奮する

頭痛以外にもこのような症状があるのは、後述する発作性片側頭痛や持続性片側頭痛にも共通していますが、頭痛の程度は、群発頭痛の方がきついとされています。

ある時期に集中的に起こるのも群発頭痛のみの特徴です。

男性に多いとされ、飲酒や喫煙で誘発されると言われています。

群発頭痛の治療としては、

頭痛時は、片頭痛の特効薬が有効とされています。

酸素吸入も有効で、在宅酸素療法も選択肢の一つとなっています。

一方、予防薬は、まだ完全には解明されていないとされています。

一定の効果があると言われている薬(カルシウム拮抗薬、ステロイド薬)もあるのですが、保険適用となっておらず自費での治療になってしまいます。

まずはご自身で出来る予防としましては、禁酒、禁煙をおすすめします。

下の絵は、代表的な3つの頭痛の特徴をとらえたイメージです。片頭痛と緊張型頭痛は、併発することも多く、その場合は両方に対しての治療を行います。

薬剤乱用頭痛

薬剤乱用頭痛とは、片頭痛もしくは緊張型頭痛の人が、頭痛薬を服用してもなかなか痛みが引かないために、頭痛薬の量が増えてしまい、それによってさらに頭痛を引き起こすという悪循環の状態をいいます。

薬剤乱用頭痛の悪循環

男性より女性に多く、人口の1%つまり100人に1人程度いると言われています。

薬剤乱用頭痛になると、ほぼ毎日頭痛があり、起床時から頭痛があります。

痛みの部位や性質は人それぞれです。

以下の3つを満たした場合は、薬剤乱用頭痛と診断されます。

頭痛が月に15日以上ある

鎮痛薬を普段から過剰に服用している状態が3ヶ月以上続いている

鎮痛薬を月に15日以上服用している

薬剤乱用頭痛の治療は、なかなか大変です。

乱用している頭痛薬を中止することが最も大事なのですが、患者さんが、鎮痛薬に依存しているケースもあり、治療に難渋するケースも多いです。

頭痛薬を飲んでしばらくは症状が改善する

⬇︎

薬の効果は短時間で、すぐにまた頭痛が起こってしまう。

⬇︎

頭痛がイヤなので、効果が切れるとすぐにまた頭痛薬を飲んでしまう

この悪循環で、どんどん薬の量が増えてしまいます。

薬剤が多ければ多いほど、また乱用期間が長ければ長いほど、治療がむずかしくなってくるので、もし頭痛薬乱用の傾向がある方は、早めに頭痛専門医へ受診してください。

薬剤乱用頭痛の治療は

乱用している頭痛薬の中止

予防薬をしっかり毎日内服する

基本はこの2点につきます。

頭痛予防薬は、薬剤乱用頭痛を起こさないので、かならず毎日しっかり飲むことが重要です。

ただし頭痛予防薬の効果は、効果が出るのに1〜2ヶ月程度かかることが多く、この期間をどうにかして乗り切ってもらうしかありません。

また乱用薬剤を中止すると、一旦頭痛が強くなるという状況が起こるため、1〜2ヶ月我慢するというのは、容易なことではありません。

これが薬剤乱用頭痛の治療の難しさです。

依存性は違いますが、覚せい剤などの麻薬による薬物依存症の治療に近いものがあります。

ですので、まずは乱用傾向の方は、このようなやっかいな頭痛があることを知っておく必要があり、薬剤乱用頭痛にならないようにすることが最も重要です。

もしなってしまった場合は、治療開始のタイミングを考える必要があります。

治療開始後1〜2ヶ月は大事な仕事や用事などをなるべく入れず、治療期間と割り当てることができれば比較的脱却はスムーズに行くことが多いです。

ただ中々、社会的立場や状況などでその期間の確保ができない人も多いのも現実です。

発作性片側頭痛 と 持続性片側頭痛

片側頭痛(片頭痛とはちがう)

片頭痛によく似た名前ですが、治療法が違うタイプの頭痛があります。

発作性片側頭痛(ほっさせいへんそくずつう)

持続性片側頭痛(じぞくせいへんそくずつう)

ややこしいのですが、どちらも片頭痛(へんずつう)ではなく、片側頭痛(へんそくずつう)となっています。

医学用語では、片側と書いて、『へんそく』と読むことが多いので、『へんそくずつう』と読みます。

どちらも目の奥やこめかみ付近の強い頭痛を起こします。ここまでは片頭痛に似ています。

目の充血、涙が出る、鼻水・鼻づまり、冷や汗などを伴うことが特徴です。このあたりは群発頭痛に似ています。

発作性片側頭痛では、頭痛は片頭痛より短く(2−30分)、発作的に起こるという特徴があります。

持続性片側頭痛では、持続的にずっとこのタイプの頭痛が続きます。

片頭痛や群発頭痛として治療されているケースも多いのですが、それでは改善しないことが多いです。

このタイプの頭痛には、インドメタシンという薬剤が極めて有効です。

インドメタシンは、ドラックストアでは湿布薬は多くありますが、内服薬は取り扱いがないので、医師に処方してもらう必要があります。

(ただ2018年インドメタシンが製造中止になってしまい、同様の効果があると言われる薬剤の処方のみとなっています)

クリニック開院のお知らせ

このたび遠藤は、2023年2月1日、東京都杉並区に高性能の最新MRI、CTを完備した、しびれと頭痛に特化した専門クリニックを開業させていただくこととなりました。

都内近郊にお住まいの方や都内に来院可能な方は、20232月以降に、都内クリニックをぜひご利用ください。

2022年12月よりWeb予約開始となります。

Web予約での取り方がよくわからなかったり、ご都合のいい日で取れなかったりしましたら、2023年2月1日以降直接ご来院ください。

また2月1日以降は電話予約も可能となります。

詳しくは、以下ホームページをご参照ください。

クリニック名称 :すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック

公式ホームページ:https://suginami-nouge.com