皆様、こんにちは。
脳神経外科医の遠藤です。
今回は、世の中にはびこっている怪しい民間療法について注意喚起をして参りたいと思います。
民間療法とは
民間療法とはどのような治療なのでしょうか?
Wikipediaから少し言葉を拝借いたしました。
まず
民間療法(みんかんりょうほう)とは、
広義では、民間で伝わった療法のこと
狭義では、科学的根拠に基づかない手法である
とあります。
また
民間療法は、主に経験則にもとづいた医療(もしくは医療の類似行為)である。
とも書いてありました。
つまり個人の経験に基づいた医療であり、過去の膨大な科学的データを無視した治療が民間医療なのです。
民間療法は悪なのか?
民間医療とは、個人の経験に基づいた医療であり、過去の膨大な科学的データを無視した治療のことを言いますが、これが全て悪いとは言いません。
たとえば
風邪の時にネギを喉に巻いたら症状がよくなった
梅干しをこめかみに貼ったら頭痛が取れた など
これらも、ある意味で、民間療法と言えるでしょう。
民間療法の成り立ちは、以下のようになります。
ネギや梅干しを使って症状がよくなった人がいた
⬇︎
結論:ネギや梅干しは、病気に有効である
こうやって結論づけてしまうのが、民間療法です。
ただし、これが一概に悪というわけではなく、実際に、ネギや梅干しでよくなった人もいるのも事実なのでしょう。
ネギや梅干しは安価であり、それを体に触れさせても全く問題ないので、それで症状がよくなれば全く問題ないかと思います。
他にも、安価で体に害がなければ、民間療法に対してとやかく言うことはありません。
しかし、仮に、頭痛が一瞬で治る梅干しと言う触れ込みで、1個1万で売られていたらどうでしょうか。
さすがにこの梅干しに騙される人はいないと思いますが、悪徳な民間療法はこれと同じことをやっているのです。
実際にはもっと巧妙な手口で宣伝やアピールをしてくるので、素晴らしい治療のような錯覚を持ってしまいがちなのです。
では、どういった民間療法に気を付けるべきでしょうか。
やめた方がいい民間療法
いろいろな分野で、多くの民間療法があり、一概に判断することは難しいです。
が、まずやめた方がいい民間療法に共通して言えるのは、以下でしょうか。
異常な高額な民間療法でまともなものはないと断言していいのではないでしょうか。
数回分の治療代金をまとめてローンを組ませてきたり、高額なサプリメントなどを売りつけてくるケースなどもあり、言語道断です。
異常な高額である とセットのことが多いです。
必ず治るから高額なのですというのが言い分です。
医療に絶対はありません。
同じ薬を処方しても、同じ手術をしても、人によって改善の度合いは個人差があります。
こうした過大広告には要注意です。
通常、保険診療内の治療を行っている医師が患者さんに何か(サプリメント、治療法を書いた本やDVDなど)を売ることはありません。
DVDの何枚かのセットで、何十万とかいうケースもあるようです。
そんなものを絶対に買わされないようにしましょう。
何か売ってくる時点で、かなりというかほぼ100%怪しいです。
次に、これらのフレーズが出た場合も、怪しいといっていいのではないでしょうか。
このワード、かなり怪しいです。
この治療を考えた方はどこまで免疫学の知識があるのでしょうか。免疫学は膨大な学問です。
耳障りのいいキラーT細胞とかナチュラルキラー細胞とかいう名前が出てきたら要注意です。
医学生の頃、そういった免疫学について相当時間勉強させられるのですが、かなり難解でした。
その医学生達よりもおそらく勉強していないであろう人たちが、免疫力をアップさせる治療を考案できるとは思えません。
このフレーズ、限りなく怪しすぎます。
医師が民間療法を勧めることはまずありません。
我々は、基本的には、厚生労働省の定めた保険医療を行います。
仮に喉が痛くてクリニックを受診した際に、ネギを首に巻いておけば治りますよーという医者がいたらどうでしょうか。
かなり不審に思いますよね。
でも、民間療法の広告で医師の写真と経歴が載っていて、〇〇医師も推薦!って書いてあったりするのはなぜ?と疑問に思うかもしれません。
答えは、100%お金です。名前貸しと言って、それなりに高額なギャラなのでしょう。
医師が認めているということで信頼できるものと思わせるのでしょうか。
医師免許という信頼性の高い肩書きを使って、胡散臭い治療を信用させる非常に悪質なやり方だと思っています。
医師でなく、有名人などのケースもありますね。同様のケースを思われます。
大抵、売れなくなった芸能人の方を採用しているケースが多いです。
芸能人はある程度それもお仕事ですので、しょうがない部分もありますが、医師免許を持った医師がそれに手を貸すのは、個人的にはどうかと思います。
これもかなり怪しいケースですね。
たしかにアメリカやヨーロッパなどに比べて日本の医療は遅れている部分もありますが、海外で有効性が認められた治療が、日本でまだ認可されない理由は、人種や体格、DNAなどが違うため本当に日本人に安全に使うことができるか結論が出ていないからです。
日本人に対しての安全性が確立していない治療というのも怖いですし、そのような情報を民間の業者が把握しているとはとても思えません。
おそらく元々海外で有効というデータもまずないと考えていいでしょう。
よく、外国人の〇〇大学の〇〇博士が開発にたずさわったとかで、顔写真付きで載っていたりします。
筆者は一度、その人物をgoogle検索したことがありますが、論文や業績など1つも見つけられませんでした。実在するかどうかも怪しいところです。
一概に言えませんが、これもかなり疑ったほうがいいでしょう。
本当に実在する人物を載せているかどうかわかりませんし、本当にきちんとしている治療なら、その治療の本質を書けばいいだけで、そんなにアピールする必要はないのでしょう。
下の方に小さい字で、
※誰でも特定の結果が得られる保証をするものではありません。結果には個人差があります。
と書いてあるケースがほとんどです。怪しい健康食品のCMみたいですね。
他にも、怪しいケースもあるとは思いますが、今思いつく限りではこんな感じでしょうか。
私は、脊椎外科を取り扱っていますので、整骨院、整体、カイロプラクティックなどの分野の方とも、接点がありますが、これらは、民間療法とはいいません。
きちんと勉強して資格を取られ、真面目に施術をなさっている方がほとんどです。
しかし、こういった悪質なものも混じっているのも確かですし、医師が開業しているクリニックでも、どうかと思う治療を行っているところもあります。
医療知識のない方が完全に見抜くのは、なかなか難しいかもしれませんが、怪しい民間療法には気を付けてください。
お金を失うだけでなく、適切な治療のタイミングが遅れてしまうことで、病状の悪化を招いてしまう可能性があります。
この記事が、皆様に少しでお参考になれば幸いです。
クリニック開院のお知らせ
このたび遠藤は、2023年2月に、東京都杉並区に高性能の最新MRI、CTを完備した、しびれと頭痛に特化した専門クリニックを開業させていただくこととなりました。
都内近郊にお住まいの方や都内に来院可能な方は、2023年2月以降に、都内クリニックをぜひご利用ください。
2022年12月よりWeb予約開始となります。
Web予約での取り方がよくわからなかったり、ご都合のいい日で取れなかったりしましたら、2023年2月1日以降直接ご来院ください。
また2月1日以降は電話予約も可能となります。
詳しくは、以下ホームページをご参照ください。
クリニック名称 :すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック
公式ホームページ:https://suginami-nouge.com