皆様、こんにちは。
脳神経外科医の遠藤です。
今回は、私が普段行っている顕微鏡手術についてお話してまいります。
また内視鏡手術とのちがいについても、最後の方で簡単に触れてまいりたいと思います。
顕微鏡手術とは?
顕微鏡手術は、
手術用の大きな顕微鏡を覗きながら、行う手術
です。
皆様が想像する顕微鏡というのは、だいたいこんな感じではないでしょうか。
でも、実際の手術で使う顕微鏡は、こんな感じなのです。
かなり大がかりなのがお分かりでしょうか。
写真では伝わりにくいですが、全長は人の身長を優に超えています。
倍率は、数十倍まで拡大することができます。
価格は、何と数千万円!!
下の写真は、手術用顕微鏡に、清潔なビニールシートをかぶせて、実際に手術を行っているところです。
顕微鏡手術のメリット
拡大された明るい視野を確保できる
まず、術野を数倍〜数十倍まで拡大して見ることができることが最大のメリットです。
さらに立体でみることができるので、距離感もつかみやすく、視野も非常に明るいです。
それにより切ってはいけない血管や神経などをしっかり判別でき、安全に手術ができます。
傷が小さくて済む
術野は、深くなればなるほど暗くなります。
特に傷が小さければ、光が入るスペースも狭くなるので、通常の手術用のライトでは、光が十分入らないこともあります。
そうした場合、安全に手術を行うために、光の通り道を広くするために、傷を大きくする必要があります。
顕微鏡は、強力な光源を持っており、光が奥まで届き、深い術野でもしっかり確認できます。
つまり、さほど傷を広げなくても、手術を安全に行うことができるのです。
これも大きなメリットですね。
出血量が少ない
小さい傷で手術可能なので、当然、出血量も減ります。
また、出血している箇所も、拡大されているので、いち早く見つけることができ、迅速に止血できることも出血量の減少につながっています。
基本的には、顕微鏡手術で、輸血をするケースは非常に少ないです。
除圧不足を防げる
除圧とは、神経の圧迫を取ってあげることです。
せぼねのほとんどの手術は、基本的には、除圧がメインです。
この除圧が不十分だと、せっかく手術を受けたのに、症状が十分改善しないといった事態が生じてしまいます。
肉眼では到底見えない奥の方で神経の圧迫があった場合などに、こうしたことが起きてしまいます。
この場合も、顕微鏡を用いれば、奥の方までしっかり確認することができるので、除圧不足になる可能性を大幅に減らすことができます。
顕微鏡手術のデメリット
肉眼手術と比べてしまうと、リスクの上では顕微鏡手術のデメリットはありません。
ただどうしても肉眼手術よりも細かい部分を操作することが多くなるので、手術時間は少し長くなりますが、それほど変わらないことがほとんどです。
デメリットを強いてあげるとしたら、顕微鏡を準備する手間と、メンテナンスの手間くらいでしょうか。
また術者が顕微鏡手術に慣れていないと、よけい難しくなってしまいますので、普段から使っていない医師でないとメリットは少ないかもしれません。
脳神経外科医による脊椎顕微鏡手術
私は脳神経外科医で、脳卒中や脳腫瘍の手術も数多く行ってきました。
そこで得た確かな技術をせぼねの手術に応用し、安全かつ確実な手術を行なっております。
顕微鏡の扱いに習熟している術者が、顕微鏡を用いて手術することで良い結果に直結すると思っております。
手術をさせていただいた多くの患者さんは、手術翌日から歩行が可能です。
2、3日目から本格的なリハビリが開始し、1〜2週間で退院していきます。
顕微鏡手術と内視鏡手術とのちがい
せぼねの手術には、顕微鏡手術以外に内視鏡手術というものもあります。
どちらも鏡という漢字が入っていて、似たようなイメージもあるかもしれませんが、実際はだいぶ違います。
顕微鏡手術も内視鏡手術も
ヘルニアを除去する
狭くなった脊柱管を広くする
といった手術の目的は同じですが、手術方法がだいぶ異なります。
手術風景だと、それぞれこのような感じです。
左の写真が顕微鏡手術で、右の写真が内視鏡手術の様子です。
顕微鏡手術では、術野を大きな顕微鏡でのぞきながら手術を行います。
内視鏡手術では、モニターに映し出された術野を見ながら手術を行います。
見た目からしてだいぶ違う印象があるように見えますね。
内視鏡手術に関しては、私は行っておりませんので、一般的なことについて解説してまいります。
内視鏡は、このような器具を挿入することで、小さな術野がモニター上に大きく映し出されます。
もちろん、内視鏡手術も肉眼での手術とは比べようがないくらいメリットがあります。
顕微鏡手術と内視鏡手術の一般的な利点や違いなどについて話していきたいと思います。
傷の大きさ
傷の小ささは、内視鏡手術の大きなメリットです。
顕微鏡手術でもある程度小さい傷で手術が可能ですが、内視鏡手術では、先ほどの器具の先端の筒の部分だけが入るだけの切開でよいので、傷は当然小さくなります。
退院までの期間
傷が小さい分、内視鏡手術の方が、退院まで早い傾向にありますが、それほど大きな違いはないことが多いです。
安全性
もちろん術者によるところが大きいのですが、一般的には、顕微鏡手術に分があるような気がします。
顕微鏡手術は小さい傷ですが、直接術野を開いて確認できます。
一方、内視鏡手術では、筒を入れた状態での視野しか確保できないので、万が一の事態に関しては、顕微鏡手術の方が安全性が高いと感じます。
視認性
これも安全性につながることですが、これも顕微鏡の視野のほうが視認性は高いのではないかと思います。
まず最大の違いは、
顕微鏡手術では、顕微鏡を覗くため3D(立体)の状態で視野を見ることができます。
3Dの最大のメリットは、距離感が非常にわかりやすいということです。
内視鏡手術では、拡大された視野を平面上のモニターを直接肉眼で見るので、どうしても2D画像となるので、距離感の把握が顕微鏡手術よりも難しいと思われます。
複数の病変部がある場合
手術箇所が、1箇所ではなく、数カ所ある場合などは、内視鏡手術では難しいケースが多いです。
顕微鏡手術では、手術箇所の制限はありません。
特殊なケースの場合の除圧
まれに、神経の圧迫されている部分が特殊な場所だったりすると、顕微鏡手術でその場所に到達するのが大変なケースがあります。
そういった場合に内視鏡でスルスルっとその場所まで容易に到達でき、手術を楽に終われることがあります。
そのような時が、内視鏡手術の最も本領を発揮する時ではないでしょうか。
費用
これは差異はありません。基本的には、どちらの手術も保険内治療であり、保険内治療であれば大きな違いはありません。
必ず、保険内治療を受けましょう!
最後に
最後に皆様にお伝えしたいことは、
結局、手術をする医師が、顕微鏡、内視鏡どちらの手術にどれだけ精通しているかということが重要だと思います。
傷の大きさなどにこだわりがある方は、内視鏡手術がいいかと思いますが、
いずれも習熟した医師が手術を行えば、顕微鏡手術も内視鏡手術も結果に変わりはありません。
手術をご検討なさっている方の少しでも参考になれれば幸いです。
クリニック開院のお知らせ
このたび遠藤は、2023年2月に、東京都杉並区に高性能の最新MRI、CTを完備した、しびれと頭痛に特化した専門クリニックを開業させていただくこととなりました。
都内近郊にお住まいの方や都内に来院可能な方は、2023年2月以降に、都内クリニックをぜひご利用ください。
2022年12月よりWeb予約開始となります。
Web予約での取り方がよくわからなかったり、ご都合のいい日で取れなかったりしましたら、2023年2月1日以降直接ご来院ください。
また2月1日以降は電話予約も可能となります。
詳しくは、以下ホームページをご参照ください。
クリニック名称 :すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック
公式ホームページ:https://suginami-nouge.com